私の在宅訪問日記
私が訪問させて頂いていたのは、重度の肝不全の70代独居男性宅でした。
きっかけは、本人の代わりにお薬をとりにいらっしゃったケアマネージャーさんからの「服薬状況が悪い」という相談からでした。
ケアマネージャーさんがことあるごとにしっかり連絡をくださる方で、離れて暮らしている息子さんとも頻回に連絡を取り合える状態で、ヘルパーさんも週に2回入って身の回りのことをやってもらいながら独居でお住まいでした。
目と鼻の先に個人の内科と薬局、訪問看護ステーションもありましたが、本人の希望で、定期受診だけでなく臨時受診も済生会病院に片道40分くらいかけて通っておられました。だんだんと肝機能悪化し肝性脳症進んできた状態でさらに軽い脳梗塞も発症し、12月末に1週間弱入院もされました。
最後の訪問の日の朝10時、1時間近く呼び鈴に応じず、ケアマネージャー、隣に住んでいる実姉が集合し、もしかして、と不安がよぎる中、ようやく出てきていただきホッとしたことを思い出します。「昨日済生会受診で疲れたんかな、すごく眠いのや。足も動き悪い。」とおっしゃいました。バイタルチェックするとまた熱が上がってきておりまして、本人や遠方にいる息子さん、他職種と相談した結果、昨日に続いて受診することになりました。入院せず、抗生物質処方されたのは夕方17時半過ぎ。それをいつものお薬セットに入れ込ませていただき帰宅されたのが18時半ころでした。息子さんに送ってもらい一人で床に就いた後、お亡くなりになったようです。翌朝、ヘルパーさんによって発見されました。
今回の事例では、最後まで家にいたいという目的は遂げられましたが、誰にも看取られることなくお一人で逝ってしまうことになりました。どうにか家族のいる時に、と思ってしまい残念でなりませんでした。
私事でも、仕事でも、最近、多職種の方々としっかりお話する機会があり、皆さん口をそろえておっしゃるのは「介護に正解はない。」という言葉でした。また、訪問看護師さんからは、家族の依頼で行ったケアでも、本人はどう思っているのか疑問に思うことが多々あるというお話をおききしました。本人はもちろん、家族が本当に満足できる最後を居宅ですごすためには、やはり、本人、家族、多職種、さらには地域の人との間での連携がすごく重要であったと実感しました。