センター薬局では「地域のかかりつけ薬局」として、地域の皆様が住み慣れた環境 で生活が出来るよう、医師・看護師・介護職等の多職種の方々と連携を図り、患者様の在宅療養をサポートしています。 近年、在宅医療の進歩により、病院でしか行えなかった点滴療養(中心静脈栄養法輸液)が、ご自宅で行えるようになりました。このとき用いる点滴薬剤の調製には、クリーンルームを利用した無菌調製が必要となります。持続点滴が必要な方に関しましても、安心してご自宅での療養が行えるように無菌調剤室にて調製しております。
当薬局の無菌調剤室は広さが6.86平方メートルで、清浄度はISO14644-1に規定するクラス7(クラス10000)であり、室内にクリーンベンチ(無菌作業台)を設置しています。クリーンベンチは薬剤師2人が同時に無菌調製を行うことができ、中心静脈栄養法用輸液や麻薬の調製に使用します。
抗がん剤調剤室は広さが5.4平方メートルで、室内には安全キャビネットを設置し、抗悪性腫瘍剤の調製に使用します。安全キャビネットは完全屋外排気型であり、調製者の安全確保を第一として、設計されています。
この2つの調剤室の特徴として、着替えや手洗い、監査などを行う前室により分けられ、一つの前室から無菌調剤室、抗がん剤調剤室のどちらへでも入室することができるようになっています。また、空気の流れも無菌調剤室から排出される清浄な空気が前室と抗がん剤調剤室に流れ込み、安全な清浄度の高い業務が可能となっています。
松阪地区薬剤師会では、より安全でレベルの高い混注業務を標準的に実行できるように、2014年11月より無菌調製検討委員会を組織し、使用器材や物品の選定、手順書の作成や会営センター薬局薬剤師を対象とした研修会の開催などに取り組んできました。抗がん剤や麻薬混注業務も可能です。 地域の薬局が利用できるよう共同利用も可能な施設となっております。
無菌調剤室及び抗がん剤調剤室は、高齢化社会に伴い在宅医療が急激に進展していく中で、薬剤師がその職能を十分に発揮し、地域におけるチーム医療へ積極的に参画していくための大きな第一歩であり、松阪地区のみならず中南勢地区の地域医療の拠点として、今後さらに地域の医療・保健・福祉等の向上に貢献できるものと考えます。
在宅医療に必要となる無菌調剤において使用する輸液や器具の取り扱い、注射薬の混合など基本から修得します。実際にクリーンベンチを使用しての研修も行います。